夢の中のミハルは今度はパティシエになっていた。


「大野さん、見てくださいこれ!」


弟子である女性がミハルに賞状を見せてきた。


それは全国ケーキ選手権の最優秀賞と書かれている。


「すごいじゃない! いつの間にコンテストに出たの?」


「えへへ。コンテストに参加すること、黙っていてごめんなさい。でも自身がなくて、言えなかったんです」


「そうだったの。私もそのコンテストで最優秀賞をもらって、ここまで来たのよ」


嬉しそうに言うミハルに女性は真剣な表情になった。


「これからは、私も本気でミハルさんを追い越しに行きますから」


その言葉にミハルの心臓がドクンッと跳ねた。


弟子を取るということは、ここをいつか卒業していくと行くことだ。


わかっていたはずなのにかすかに焦りを感じた。


「もちろんよ。楽しみにしているわね」


ミハルは精一杯の笑顔を浮かべて、そう答えたのだった。