ハッと目が覚めた時、すでに放課後になっていた。


慌ててトイレから出てC組へ向かったが、誰も残っていなかった。


まさかこんなに長く夢を見続けるなんて思っていなくて少し焦ったが、夢の内容を思い出すと自然と頬が緩んだ。


夢の中でミハルは大学生並の学力を持っていて、海外で勉強していた。


「いつか私も海外に行ってみたいなぁ」


帰る準備をしながらポツリと呟いた。


現実のミハルは英語もできないし、飛行機に乗ったことだってなかった。


そのことを考えるとまた体が重たくなったように感じられた。


鏡の中の老けこんだ自分の顔を思い出して左右に強く首を振る。


そしてなにもかも忘れるように大股で教室を出たのだった。