お店でこんなケーキが売ってあっても絶対に買わない。


それでもこんなに美味しいと感じるのは、やっぱり自分でつくったからだろうか。


「あのねミハル。夢はそう簡単に叶うものじゃないから、夢なのよ」


ケーキを食べ終えてお母さんが言う。


ミハルは素直に頷いた。


「だからね、みんな夢を叶えるために努力をしているの。中途半端じゃなく、一生懸命」


ミハルは膝に置いた自分の手を見つめた。


指先に少しクリームがついてる。


「ミハルはまだまだ将来がある。だからいそいでひとつの夢に決めることはないから、ゆっくり考えなさい。お母さん、ミハルがどんな夢を追いかけても応援するから」


「うん。ありがとう」


ミハルは頷き、指先についたクリームをペロリと舐めたのだった。