意味不明だし、信じてもないけど……この状況なら別だ。


とりあえずなんでもやってみようっ!



「お腹空いちゃった……」



お母さん直伝、"上目遣い" をやってみると、彼は一瞬目を見開いた。


おっ……? これはいけるっ……?


そう期待を胸にじぃっと見つめ続けていると、だんだんと怪訝な顔へと変わっていく。


あ、あれれれれっ……?



「その顔でお願いすればなんでも叶うと思ってんのか?」


「その顔とは……」


「……」



え、シカトですか。


呆れたような顔を向けられて、私は口先を尖らせる。


なんでそんな顔するかなぁ……?



「ダメ、ですか……?」



他をあたるしかないか……。


そう諦めかけた。


でも彼は、私の頭に手を置いて、そっと優しく撫でてくれたの。


その手の大きさに少しだけドキッとして、彼を見上げると、優しく微笑んでくれていて、その姿がまるで太陽のように見えた。



「あ、の……?」



首を傾げると、彼が『はぁ……』とため息をついて。



「まぁ……捨て犬見捨てるのも気が重いしな」


「!……そ、それって」