勢いよく扉を開ける。



『あれっ? 叶君っ!』


「っ……! りんっ……か……」



あ……幻覚か……。


胸が……締め付けられるように息苦しい。


さっきまで、幸せだったのに……。


そんなことを思いながら、俺は"それ"を探し始めた。


ねーな……。


引き出しとだろと思ってたけど、無い。


ベットの下や枕の下。


枕の中も探した。


凛華の匂いがして、無性に虚しくなってくる。


ふと窓から風が吹いてきて、窓の方に目を向けると、揺れるカーテンに袋が紐で吊るされていた。


よく見ると、ー叶君ーと書いてあり、このことか、と取って中を見てみる。




「録音機?」




今どき録音機なんて初めて見た。



俺はそのボタンを押してみた。





『あー、あー。あれっ? これってもう録音開始されてるっ?』






凛華の、焦ったような声。俺は涙腺が崩壊しそうになる。


あー……信じられない。

まだ、凛華はこの世にいるような気がしてならない。






『こほんっ! えーっと、多分もう手紙は読んだ……よね?
伝えたいことはあれでおしまいなんだけど、やっぱり念を押すというか……ちゃんと、口で話して、伝えようと思って、録音しました!』







その後、数秒間凛華は黙った。