いつの間に、こんなに好きになっていたんだろう。
友達ができて、美味しい食べ物をみんなで食べて、たくさん笑ってたくさん泣いて。
初めて、誰かに"恋"をする気持ちを知った。
後悔なんてなにもない。
なにも……ない。
「叶君……あの、私、もう出て行こうと思う」
心臓が痛くて、苦しい……病気が悪化してる。
この前も病院に行った時、入院が必要だと言われた。
「なぁ……どこに行くんだ?」
「ふふっ……私、ちょっと入院するんだぁ」
私がそう言うと、叶君は目を見開いて驚いた。
愛しいなぁ……。
「そこまで重い病気じゃないから、気にしないでっ……?」
心配はかけたくないっ……。
込み上げてきた愛しさは、墓場まで持ってく。
伝えたらダメ。
叶君を困らせるだけって、分かっているから。
「で、ではっ……今までありがとうございましたっ……!
みんなにも楽しかったって伝えといてねっ……!」
ヤバい……泣きそうだ。
これでお別れ。
「……退院したら、帰って来いよ」
「っ……」
帰って、きたいよっ……。
私……帰る場所、ここだけだもんっ……。
だけど無理。
叶君に笑顔を向けてから倉庫を出た。
「お前の居場所は、俺のとこだ」
居場所なんてなかったのに……彼が作ってしまった。
大切だと思う人が、目の前にいた。
もう会えない。