私は急いで先輩を見つけると、恒例のハグをかまして笑う。
「先輩、今日も大好きです! 先輩は私を好きになってくれましたか?」
そしてぎゅっと抱きついたまま、先輩を前に溢れる笑顔でいつも通りのセリフを吐く。
「……」
あれ?
いつもなら、あり得ない、しかもタックルすんなって、私を引き離しにかかるのに……
え……怒った?
毎日伝えていても、好きを言うのは簡単じゃない。
だけど、怒らせるなんて本望じゃない。
どうしよう……
通りかかった先輩の友達は、何かを察した様にヒラヒラと手をふるだけ。
「先、輩……」
ごめんなさい、そう言う前に先輩が遮る。
「おっ前なぁ!!」
「は、はいっ!!」
「毎度毎度俺を好きだって笑顔向けやがって! っ俺が!ホントにお前に惚れたらどうすんだよ!」
え、
言わなきゃ、今まで、言えなかったこと。
「先、輩……好きです、付きっ付き合って下さい……」
……勇気、出して良かった。