そんなことを思いながら玄関のドアを開ける。

玄関の前に立っていたのは、やっぱり。



「……春原さん」

「有村さん、こんにちは」

「あ、こんにちは……」



気まずい。

気まずい空気が流れている。


えっと。

こういうときの対処方法は……。



「よかったら、中へどうぞ。お茶入れますね」



にっこり笑顔で迎え入れようとしたのに。



「いえ。ここで結構です」



と、バッサリ切り捨てられた。

そうですかぁー……、と苦笑いを浮かべる私。


いらない気を使ってしまったじゃないか!


……まあ、それはどうでもよくて。

肝心なのは、春原さんがわざわざこの家に来た理由だ。

立ち話で終わる内容なのだろうか。

それだったら電話とか、水樹兄弟に伝言でもお願いしておけばいいのでは?

なんて、思う自分がいた。



「1月末に、唯斗さんと春馬さんがコンサートを行うのはご存じですよね?」

「は、はい」

「そのことなのですが、」



……コンサートのこと?

なんで、コンサートの話をわざわざ私にするんだろう?