「カレーだよ!」



……温めなおす必要があるカレーだけど。

だから、夕飯までもう少し時間がかかるから……。



「腹減った」



うん。

だから、もう少し待っていてください。



「早く美羽ちゃんのカレー食べたいなぁ」

「……温めるから少し待っていてね」

「カレーは甘口だよね?」

「……中辛です」



そう言うと、春馬くんに、ものすごく嫌そうな顔をされた。

ついでに言うと唯斗くんにも。

唯斗くんはわざわざ振り返って、嫌そうな顔を私に向けてくる。



「なんで辛口じゃねぇんだ」

「なんで、って言われても、春馬くんは甘口派だし、唯斗くんは辛口派だし。あいだを取ったら中辛、みたいな?」



私がそう言うと、2人はため息をついた。

これは『呆れています』的な雰囲気のため息だ。

だって、どちらかの好みに合わせるわけにもいかないし!

それだと、ひいきしているみたいだし!
 
そもそもどっちを取ったって、もう片方から睨まれるのは分かっているし!