ゆらり、ゆらりとブランコを無心で漕ぐと、風が頬を優しく乾かしてくれる。
そうしている内に少しずつ、自分の気持ちが落ち着いてくるのが分かった。
ギコギコと、ブリキの音を聞きながら私は、先ほど置き去りにした愛しい人のことを思い出した。

指輪を見た時、怖くて彼の顔を見ることができなかった。
「ごめんなさい」
と、地面を見たまま吐き捨てるように言って逃げた。

そんな私に対して、彼は、どんな思いを持ったのだろう。
どんな顔で、私を見ていたのだろう。