私が、勝手に不安になっただけ。
私が、勝手に怖がっただけ。
社長はちっとも悪くない。
ただ、私が……。

「社長……」

たぶん、こう言うのが正しい。
これしか、思いつかない。

「私なんかがあなたの妻になる資格はあるんですか?」

忙しいのを分かってるのに、この優しい人を、私は何度も何度も困らせた。
そんな人間が、この人の側になんかいる資格……誰が与えてくれるのだろう。

そう思った時だった。

「僕の妻になる資格って、何?」