「何故じゃ…今度は人型とは…。」


 また私が鏡を見せた所

 本格的に落ち込んでしまっている


 (私的にはご褒美だけどね!)


 「何か、原因はないの?」


 「原因とな…。確かに力は弱まって
  いる気がする。」


 「むしろそのままの姿で良いんじゃ?」


 「馬鹿を言うな!早く元の姿に戻りたいぞ!」


 「ワガママですね~。名残惜しいけど
  私もそろそろ帰るから。」


 空はオレンジ色に染まり始めていた


 「なっ!おい、待て!」


 突然肩を摑まれ私はバランスを崩した


 「えっ?きゃあっ!」


 私はそのまま犬神の体になだれる


 「うおっ…!」


 犬神は倒れる事なく、受け止めた


 「もう、驚かせないでよ!何です?」


 「す、すまぬ…。」


 私は文句を言い顔を上げる


 「ふぇっ!」


 (顔が…近い//)


 睫毛は長く、流れるような切れ長の目

 全てが整った顔立ち

 気のせいか何処か甘い香りがする


 「?」


 突然顔を赤くした私に犬神は首を傾げた


 「な…何でもない!」