(何だ?この針や毒を何重にもかけた
  呪いに近いような匂いは…。)


 此奴…こんな重い力をどこで付けてきた?


 儂は何千年と生きてきたが、

 こんな僅かにしか漂わない匂いで

 重く、強い力を見た事がない…


 集中してその力を散布する


 (もし故意に付けられたとしたら…
  厄介な事に巻き込まれるやもしれん。)


 同じ神としてこれは許されざる行為だ


 私情で人間に絶対力を使ってはいけない


 (全く、何処の阿呆じゃ…。)


 こんな無害な人間のガキに目を付けるとは…


 「おい、終わった、ぞ…。」


 突然振り払った力から押し出すように

 甘く甘美な香りが漂ってくる


 「え?どうしました?」


 (なんだ…?これは?)


 ドクドク、ドクドク


 体中の血が熱くなり始めた


 (此奴からか…?)


 間違いなくそうだが、あり得ない

 こんな何処にでもいそうな人間から

 こんな香りはしてこない