「お主、勘違いするでないぞ!?
  あくまでお主が無害そうな奴だった
  から教えただけであって…。」


 「私は“お主”って名前じゃないよ?
  ちゃんと瑠香って名前があるんだから。
  ほら、呼んでみて?」


 「る…瑠香?」


 「そうそう!これからは瑠香って
  呼んでね?」


 「良い名だな…。瑠香…。」


 優しい笑みで私の名前を零した狼雅に
 私はドキっとしてしまった


 「たまには名で呼び合える人間も悪く
  ないな。瑠香はどこか他の人間と違う。」


 「え?そう?何処ら辺が?」


 「う~む。そう言われてものぅ…。」


 「狼雅って他の人間には見えてるの?」


 「いや、普通の人間には儂の姿は見えぬ。
  そこがまず違うな。」


 「へぇ~!私霊感とかないけどね。」


 「特別な能力がある者でも中々見えぬぞ?
  儂から術をかけてやっと見えるが、
  どういう事じゃ?」