「う…。」


 「う?」


 「うまい…美味いぞ!
  こんな食べ物食べた事ない!」


 「そう?気に入った?」


 (あ、尻尾がパタパタ振ってる。)


 これは…喜んでくれたかな?


 「あの…ごめんね、あの時は。
  驚いちゃったから…。」


 「何だ、その事か。別に気にしてない。
  それにこんな美味しいものをくれた
  んだから許すぞ。」


 あっという間に平らげてしまった


 「こんな馳走久しぶりだ。
  今の世は良い時代だな!」


 「ていうか犬神さんはいつの時代に
  生まれたの?」


 随分古臭さい言葉遣いだから…

 平安時代とか?


 「儂は太古の神じゃぞ。
  人間が生まれる少し前からいる。」


 「へぇ~…じゃあ一番古いのか。」


 「ふん!其処らの霊などと同類と思う
  でないぞ。な・に・せ、いぬ…。」


 「うんうん、犬神様ね。」


 「お主本当に凄いと思っておるのか!?」


 「あ、ねぇねぇ。名前ないの?
  犬神さんじゃ呼びづらいよ~。」


 「話を逸らすな!名?
  一応はあるぞ?狼雅(ろうが)。」


 「狼雅…さん?」

 
 「昔の同類が呼んでいたが、今はいない
  からな…。忘れかけてた。」


 そう言うと狼雅は寂しそうな顔をした


 「じゃあ私が呼ぶよ!いくらでも
  呼んであげる!」