40歳88キロの私が、クールな天才医師と最高の溺愛家族を作るまで

「……ない……」

その日の夜のこと。
いつもなら電源を切って書斎のデスクにしまっておくスマホを、わざわざ今日は寝室まで持ってきてしまった。
寝る前のスマホは睡眠の質の確保の観点からも良くないと、分かっているのに。

俺は、つい数時間前に手に入れた優花の連絡先を、スマホの画面で見てしまっていた。
何度も繰り返し。

(やはり……俺から送るべきだろうか)

次の喫茶店の約束は、どうにか手に入れることができたが、やはり
それだけではなく自然に話がしたい。
でも、目的もないのに話かけるという行為をしたことがなかった。
……きっかけがわからない。

(このまま喫茶店に行く約束の日まで待つべきか……)

そんなことを、何度も考えている内に、段々と瞼が重くなっていった。
気がつけば、スマホからアラーム音が鳴り響いていた。

「ん……?」

液晶画面が示す時刻は6:00。
いつの間にか、眠ってしまっていたらしい。
そして後悔した。
優花からのメッセージが、深夜3時に送られていたから。