マオは、すでに余命宣告を受けていたらしい。
俺が、最初にこの地にやってきた時には。
ケビンも、それを知っていた。
だからケビンは、マオが少しでも穏やかに生活できるようにと、奥さんを亡くした後も日本の病院には戻らず、ハワイに残った。

マオは、ずっと気にしていたらしい。
ケビンを残して、死んでしまうことを。
だから、願うようになった。
ケビンに家族を残して、逝きたいと。

子供を産む。
それが、マオにとって最後の希望となってから、マオはまず相手を吟味し始めた。
日本人がいいと、マオは最初から決めていたそうだ。
ケビンは日本が大好きだから。
そんなマオが目をつけたのが俺。
理由は、ケビンが息子のように可愛がっていたから。
俺との子供であるならば、ケビンはきっと寂しくなくなる。
何故か、マオは……それが真実だと信じきっていた。
だからマオは、自分の排卵日に、無理やり俺と繋がり、必要なものを手に入れた……。

ケビンがそれを知ったのは、マオがマナを産んですぐ、息を引き取ってから。
ケビン宛の遺書に、全て書かれていた。