あれからは私が徹底して逃げ続けたこともあって、卒業まで蒼空くんと顔を合わせることはなく。


そして今日の再会に至るわけなんだけど。


……それが、ご褒美だって?


久しぶりに会って早々にこの子はなにを言い出すの?


「なんで私が蒼空くんにご褒美をあげなきゃいけないの」

「だって俺、先輩との約束を守るために頑張ったんだもん。まさか、忘れたなんて言わないよね?」


わざとらしくジト目を向けたところ、むっと口を尖らせて見つめ返された。


いちいち可愛いのはずるいと思う。この調子じゃうっかりなんでも言うことを聞いちゃいそうだ。


……じゃなくて。約束って……なんだっけ?


大事な約束だったら私も覚えてるはずなんだけど、思い返しても全く思い出せない。


蒼空くんの記憶違いってこともあるんじゃ……?


「あっ、もしかして忘れてるの?!図書室で指切りまでしたのにー!!」

「図書室……指切り……」

「ほら!最後の委員会の後に!先輩と同じ高校に入るって約束したじゃんー!」