「あっごめんね。怜香、そういえば地元の男と来てたんだよね? そいつどうしたの?」



怜香をせめているわけではないし、できるだけ努めて穏やかに訊ねる。



なのに、怜香は訳がわからないと言った様子で、困った顔をしている。 



「えっと……? 私は最初から1人だったよ? ずっと寝たきりだったからって、お母さんに言われて、運動ついでにお母さんに綿菓子を買いに……」      

             

それに人と来てたら、黙ってここまでついてこないよ。



と続けられ、なるほどと思う。

 
つまり……



「ママさんか……」「お母さんだ……」



俺は、怜香は、ママさんに嵌められたのだ。



怜香も気がついたようで、俺と声が重なる。



そうしていると、俺もまぁいっかという気持ちになり、空を見上げる。



結果オーライだ。



目線の先には、今までで一番綺麗な、見たこともないような、青が広がっていた。