昼と夜の間で、僕らは手をつなぎ合う


「そ、その……近所の図書館は、古くて、せまいから……全然、違うなって」

「あはは。ここも、前はこんな洒落てなかったんだよ。永田さんは休日、よく図書館に行くの?」

「あっ、う、うん!しょっちゅう……」

「じゃあ、月にかなりの冊数読んでそうだね」

「そ、そんなことないんだよ……! じっくり読むから、ペースは遅くて……」

「そうなんだ? でも、いいね。文章ひとつひとつ、読み飛ばさずにいてもらえたら、書いた人も作家冥利につきるんじゃないかな」

「そう、かな……?」


言葉を出しながら、わたしは感動にひたっていた。


……すごい。わたし、図書室じゃない場所でも普通に話せてる。

カチンコチンに緊張していた心が、どんどんやわらかくなっていくのを感じる。


休日にまで雨夜くんに会えるなんて、いったいどんなボーナスだろう。

でも会えるとわかっていたら、もう少しマシな服装をしてきたのにな。


今日わたしが着ているのは、着古した感じのあるボーダーTシャツにジーンズだ。

可愛さが皆無で、恥ずかしい。


Tシャツの裾をつかみながら、わたしは「あの」と声をあげた。


「あ、雨夜くんは……休日って、どうやって過ごしてる、の……?」


ケーキなら、イチゴがのったショートケーキが好き、とか。卵焼きは甘いのが好き、とか。

交換日記のときからやり取りしているから、わたしは雨夜くんに関することを、いくつか知っている。

でも圧倒的に、知らないことのほうが多いんだ。