昼と夜の間で、僕らは手をつなぎ合う


その後学校に到着したわたしは、迷うことなく、南館へと足を向かわせた。

ずんずんと、ペースを落とすことなく階段をのぼっていく。


最初にこの階段を使ったときは、すぐに息が切れてしまった。

でも、今は大丈夫。毎日のようにのぼってきたから、いつの間にか肺も足腰も、鍛えられていたみたいだ。


思わぬ副産物に今さら気づいたところで、たどり着いた図書室。

カギを開けたわたしは、独特の空気を感じようと、大きく深呼吸をした。


胸を満たす、古い本たちの匂い。

好ましい匂いに包まれながら、まず考えたのは、雨夜くんのことだった。


……雨夜くん。お母さんと、どうだったかな。

雨夜くんがここにくるのは、一時間以上あとになるはずだ。訪問するお宅までは、わりと移動時間があるはずだから。


もう終わったかな。今話しているところだろうか。

わたしがここでソワソワしても、どうにもならないのだれけど……。


「ふう……」


ガス抜きのように息を吐くと、わたしはフリースペースへと足を向かわせた。

書架から本を取ることなく、何も持たずに隅っこの席に座る。


イスに背中をあずけ、ゆっくり顔を回して、図書室内に視線をめぐらせていく。

カウンター。年季の入ったカーテン。立ち並ぶ書架たち。

わたしは今まで何回、ここに通ったことになるのだろう。