「わたし、本当に最低な人間、だけど……っ、自分がいじめられて、改めてわかった。わたしは温美を……こんなにも痛くて、ひどい目にあわせたんだって。ずっと、謝りたくて……でも謝っても、許されることじゃないのは、わかってるけど……っ」
――ごめんなさい。
もう一度深く頭を下げ、謝罪する美和。
その後頭部を見つめて、わたしはゆっくりと息を吐き出した。
……今、話を聞いて。
いろんな気持ちが、自分の中にある。
美和に対して、同情もしている。でも、わたしはなにも悪くないのに、妬みからウソをつかれるなんて、という憤りもある。
冷たい気持ちも、何か言ってあげたいという気持ちも、両方ある。
起きたことはなかったことにならないし、一度犯した罪はそのまま残る。
でも……わたしが美和の抱えていた気持ちに、気づけなかったことは事実だ。
美和には、美和なりの苦しみがあった。
あのとき。美和は美和で、必死に戦っていたんだ。


