なんとか絞り出した問いかけ。頭を上げた美和は、くしゃりと大きく顔をゆがめた。
力なく、首を横に振る。ポニーテールがふるふると、その動きについていく。
「そうじゃ、ない。でも」
美和が息を吸う。わたしと同じく気管がせばまっているみたいに、苦しそうに呼吸している。
「わたし……ずっと、温美のことを、羨んでた」
「……え?」
思いがけない単語に、目を見開く。美和の口から、次々と言葉がこぼれ出す。
「わたしと温美……同じ母子家庭ってことで、仲良くなったよね……」
「……うん」
「でも……違ったの。本当は、全然同じじゃない。わたし……っ」
美和はまた、ふるりと首を振る。薄く開いた口を、なにかを恐れるようにわななかせて。
そして美和は、言葉を再開した。
「わたし……お母さんに、うとまれてたの」
「……!」
「わたしねーー」
息を乱して、美和は語った。
同じ母子家庭でも、美和の家は我が家とは違って不仲だったこと。


