美和の外見は、中学のころからほとんど変わっていなかった。
高校デビューする子は多いようだけれど、化粧っ気もなければ、髪の長さも記憶のまま。
ただ、あのころのような快活さはなくて、ひたすらオドオドしている。
ーー許せない。
何度も唱えて、ずっと煮詰めてきた思い。
けれどなぜか、その相手を目の前にした今。不思議と恨めしい感情は、前面には出てこなかった。
わたしの顔色をビクビクうかがう美和のことを、怖いという風には感じなかった。
「……あの」
しばらく沈黙が続いたあと。声を上ずらせて、美和が言った。
「こういう時間を作ってくれて、ありがとう……」
なんと返したらいいかわからなくて、わたしは目線を下げて、「うん」とだけ言った。
また沈黙がおとずれ、その間に店員さんが、注文していたコーヒーを持ってきてくれる。
テーブルにて向かい合った、美和のメロンソーダとわたしのアイスコーヒー。
黒色の中でカラン、と氷が動く。
そして緑色のほうでは、とうとうアイスが形を保てなくなって崩れた。


