『完璧じゃない……本当の雨夜くんと、関係を築いていきたいって、思ってるよ……!』
永田さんがそう言ってくれたとき、信じられなくて涙が込み上げた。
俺は永田さんを傷つけたのに、いつわってだましたのに、それでも幻滅せずに、俺そのものを見てくれようとする。受け入れてくれようとする。
そんな永田さんの強さに、幼かったころの自分まで救われた気がしたんだ。
アナウンスがかかり、俺が立っているホームにも電車がやってくる。
目の前でプシュウと音を立てて、開いたドア。
俺はひとつ息を吐くと、背筋を伸ばして電車に乗り込んだ。


