『夜間生だからだめ、とか。全日制だからいい、とか。たぶん、そ、そういうのじゃ……ない、です』
声も体もふるわせながら、永田さんは、悪口を発した客に言った。
『頑張ってる人は……頑張る場所がどこでも、素敵だから。は……判断基準は、そこじゃないって……思います……!』
あの瞬間、泣きそうになった。
永田さんは、どんどん強くなっていく。強くなっていくのに、心は綺麗なままなんだ。
永田さんといて劣等感をぬぐおう、なんて。もう俺の中には、そんな気持ちは一ミリも残っていなかった。
『永田さん。せーの、で海に手、つけようか』
『うん、つける!』
たどり着いた海。ただただ、永田さんと一緒にいることが楽しかった。
『永田さんは……可愛いよ』
ふたり寄り添って座った砂浜。気がついたら、そんな言葉が自分の口からこぼれ出ていた。
なにか計算があったわけじゃない。永田さんを励ますために言ったわけでもない。
ただ、俺の中に生まれた本心だった。
永田さんのことが、大切になった。彼女のことを……好きだと思った。


