昼と夜の間で、僕らは手をつなぎ合う


「ありがとう……永田さん」

「……っ」


聞いた事のない声だ。頼りない。まるで迷子の、子供のような。


「俺……祖母に、母親に会わないかって言われてから……すごい、しんどくて」

「……うん」

「母親を許せない気持ちが表に出てきて……なにをしても、気分が晴れなくて。自分をすごく、嫌な人間になったように感じて……」

「……うん」

「どうしたらいいか……わからないんだ。会いに行ってしまったほうが、スッキリするんじゃないかとも思って……でも、会うってことは、許すことになる気がして。許せなくて。だから……」


雨夜くんの言葉を聞きながら、わたしは強く共感をおぼえた。

わたしとまったく一緒だ。わたしもずっと、美和のことを考えてしまう。


美和のことを考えると、汚い気持ちがわき上がる。そのたび自分を嫌いになる。


でも、許すわけにはいかない。許せるはずがない。

そうして見ないふりをして、逃げて。いつかこの黒々とした思いが消えていくのを、ただ願っていた。


……でも。それは本当に、いい方法?