昼と夜の間で、僕らは手をつなぎ合う


「雨夜くんに頼ってばかりで、わたし……本当の雨夜くんのことを、知ろうとできてなかった。雨夜くんはね、わたしからもらう言葉が気持ちよかった……みたいに言ったけど。でも本当は、そんなことないと思う。わたしは完璧完璧って、その役割を押し付けて……っ、それは知らず知らずのうちにね、雨夜くんの負担になってたと思うんだ……っ」


ずっと会いたかった、大切で仕方ない人を前に、言葉はどんどん飛び出てくる。


不思議なことだ。少し前は、声を出すことすらできなかったのに。

どもって、うつむいて。コケが生えそうな、そんなわたしだったのに。


「わたし……っ、完璧じゃない雨夜くんを、知りたいよ」


人とつながることはこわい。今だって、その気持ちはどこかにある。

でもわたしは、知ったから。人と関わるって、どうしても傷つく可能性はあるけれど、その分ものすごく幸せなことが起きたり、知らなかった自分に出会えたりするんだ。


それを教えてくれたのは、ほかでもない。

今わたしの目の前にいる、雨夜くんだよ。


「完璧じゃない……本当の雨夜くんと、関係を築いていきたいよ……!」


だからね、雨夜くん。今度は雨夜くんに、それを知ってほしいよ。

わたしが教えられたら、幸せだなって思うよ。


吐ききった、胸の中にある言葉たち。うまく伝わったかな。取りこぼしていないかな。

再び落ちた沈黙を、次は雨夜くんがやぶる。