五枚まとめて、左端をホッチキス。

任された作業を全部終えたのは、それから約三十分後のことだった。


のろのろとした動作で、進路指導室を出る。

精神的に落ち込んだせいで、必要以上に長くかかってしまった。


ショックだった。自分が先生の、ストレスの要因になってしまっているということが。

自分は欠陥人間だと、改めて実感させられたような気がする。


……ダメだ、気分を切り替えないと。

ふるりと小さく首を振ると、わたしは意識的に足を踏ん張って、廊下を歩いた。


このあとわたしは、教室に戻って雨夜くんに返事を書く予定だ。

暗い気持ちのままで書くと、きっとそういう文章になってしまう。


なんとか気持ちをふるい立たせた状態で足を動かし、やっと教室前までたどり着く。


「じゃあじゃあ、梶川はー?」

「……!」


けれど室内から声が聞こえてきて、わたしはハッと足を止めた。

今日はめずらしく、まだ人が残っているみたいだ。

引き戸についた窓から一瞬見えたかぎりでは、男子数名が室内にいる。


「あー……梶川は、Bってとこだな」

「Bかー? Cじゃね? 可愛いけど、鼻の穴デカいのがビミョー」

「ぶはっ! 鼻の穴って!じゃー、木下は?」


……こ、これって。

引き戸を通して聞こえてくる声に、わたしは肝を冷やした。