薄ピンクの小ぶりな花がついている髪ゴム。
花びらの周りは金色の糸でまつられていて、花の右端に小さな蝶の刺繍がしてあるものだ。
美和のくるんとした毛先は、春のソワソワウキウキした感じだから、ぴったりだ。
似合う確信しかなくて、即決して持ち帰った。
ただ、人にはそれぞれ好みというものがあるから、どうだろう。
誕生日当日。渡すときには、ものすごくドキドキした。
気に入ってくれるかな。消耗品の方がよかったかな、なんて思ったりして。
……でも。
『きゃー可愛いっ!』
わたしからプレゼントを受け取って包みを開けた美和は、不安を吹っ飛ばすような声を上げて、目を輝かせた。
『えーほんと可愛い!温美ありがとうー!早速付け替える!一生大事にする!』
『あはは、大げさだよー』
『大げさじゃないよ、こういうのすごい好き!さすが親友だね。わかってるー!』
あはは、あはは。笑い合うわたしたちの声が、耳の奥でこだまする。
そこには幸せの色しかなくて。わたしは本当に、美和が大好きで。