【おはよう、永田さん】
綺麗な文字が目に飛び込んできて、胸が動いた。
わたしが見るであろう時間に合わせて、朝の挨拶を書いてくれたんだ。
やり取りをしていて感じること。
それは、雨夜くんがとても配慮ができる人だということだ。
わたしの質問に丁寧に答えてくれるし、こうしてわたしの状況を考えた言葉を書いてくれる。
それに……【わたしはブスで欠陥品だ】とか。
マイナスな言葉をたくさん見ただろうに、気を使ってくれているのか、それらには言及してこないんだ。
胸をときめかせながら、先を読み進める。
【お弁当なんだ、いいね。
好きなおかずは、卵焼きです。ちょっと甘いやつ。
永田さんは、甘い派しょっぱい派?
一番好きなおかずは、なに?】
ハテナがふたつもあることに顔をゆるめながら、頭に新情報をインプットする。
雨夜くんは、甘めの卵焼きが好き。そのほかにも、雨夜くんに関して知ったことはたくさんある。
たとえば、昼は学校近くの印刷工場で働いていること。
数学が一番得意だということ、趣味はスポーツ。するほうも見るほうも好き。
それから、読書も好き。そう書いてあったのを見たときは、わたしと同じだって嬉しくなった。


