昼と夜の間で、僕らは手をつなぎ合う

【イチゴがのったショートケーキかな。なんか、一番ケーキって感じがする。
甘いものは好き? 苦手な食べ物ってある?】

【一番ケーキって感じ、わかる。
甘いものは好きだよ。苦手な食べ物は納豆。匂いがどうしてもダメで。
雨夜くんは、苦手なものがある?】


文字を書けば、文字が返ってくる。

そんな風に、まるで交換日記のようにやり取りをしていって。


そして現在……四月下旬を迎えてもなお、不思議な交流は続いている。


ノートを落としたと焦ったときは、自分をひどく責めたけれど。

でも今となっては、あのときのわたしをほめてあげたい気持ちでいっぱいだ。


声は出せないし目も合わせられないけれど、だれかと話したい。

そんなわたしのニーズに、交換日記という方法はおあつらえ向きすぎて。

今では、ノートに書かれている文を読むことだけが、学校に来る理由みたいになっている。


……今日は、なんて書いてあるんだろう。

昨日からすでに待ちきれなかった。ソワソワしながら着席し、ノートを膝の上にのせる。


わたしが昨日書いて帰ったのは、お弁当の話だった。


【昼は、食堂や売店を使わずにお弁当を食べてるよ。雨夜くんは、お弁当のおかず、なにが好き?】


たしか、そんな感じで書いたと思う。

はやる鼓動を感じつつ、焦る指先でページをめくる。