「うん、つける!」
わたしも張り切って、両手をしっかりパーに開いた。
ふたり同じように手を構えて、足元を見つめてタイミングをはかる。
ザザン、と波が引いていく。
またこちらに向かってきて、雨夜くんが息を吸い込む。
「せーの!」
――ばしゃんっ!
二組の手が、同時に入水した。
「「つめたっ!」」
口から飛び出てきたセリフも、同時。
互いに目を見合わせたあと、わたしたちは声を上げて笑ってしまった。
楽しくて楽しくて、ゴムボールのように心がはずんでいる。まるで子供に戻ったみたいだ。
「~きゃっ!?」
とそのとき、予期せず足元にも冷たさを感じ、わたしは尻もちをついてしまった。
さっきよりも大きく波が寄せてきたようで、スニーカーがずっぷり海水を吸ってしまっていた。そしておしりは砂まみれだ。


