そのあとは無事、おじさんに絡まれることもなく月見そばを完食。
わたしたちはまたバスに乗り、そしてとうとう、今日のメインである海に戻ってきた。
「うわぁ……!」
バスから降りるなり、お腹の底から感嘆の声を上げてしまった。
大陽の光が強くなったからだろうか。車窓で見たときより、海のきらめきがぐんと増していた。
キラキラ、キラキラ。スパンコールを散りばめているみたい。
ううん、宝石かな。海の底に、いったいいくつ眠っているんだろう。
「永田さん、ここからなら降りられる?」
「……あっ!ありがとう!」
雨夜くんが手を貸してくれて、岩場から砂浜に降り立つ。
こんな風に砂浜に降りるのは、小学生以来じゃないかな。靴を履いているけれど、熱された砂の温度がじんわり伝わってくる。
「すっごい足沈むね」
「だね、ふかふか……!」
連れ立って歩き出した砂浜。サラサラの砂が、日常では体験できない感覚を足に与えてくれる。


