道外れてる、とか。ゴミ、だとか。
間違っても、そんな言葉を当てはめちゃいけない。
「夜間生だからダメ、とか。全日制だからいい、とか。たぶん、そ、そういうのじゃ……ない、です」
雨夜くんはもちろん、雨夜くん以外の人たちだって。
「頑張ってる人は……頑張る場所がどこでも、素敵だから。は……判断基準は、そこじゃないって……思います……!」
そこまで言い切ると、店内がシンと静まり返った。
おじさんは何か言いたげな顔をしたけれど、子鹿のようにガクガクふるえるわたしの姿を見て、闘気をなくしたらしい。
「……あー、そ」
短く言って、プイと壁の方を向いた。
と、とてつもなく大胆なことをしてしまった……!
席に座ってから、汗がものすごい勢いで吹き出した。
雨夜くんのことを思ったら、とっさに動いてしまったけど。でもあまりにも、見切り発車すぎた。
もしかしたら、しつこく絡まれて危ないことになっていたかもしれないのに。
「……永田さん」
「……っ」
冷や汗だらけで背中を丸めていると、正面から雨夜くんの声が聞こえた。
おそるおそる顔を上げて……ああ、よかったんだと思った。


