雨夜くんが犯罪者とひとくくりにされて、悪く言われて。
雨夜くんが傷つけられているのに、何も言えずに黙っているなんて。
嫌だな。わたし……嫌だ。
「だいたいなぁーー」
ーーガタ……ッ!
おじさんが次の言葉を継ごうとした瞬間。わたしは思わず、勢いよく立ち上がっていた。
呆気に取られたおじさんが、言葉を止めてこちらを見る。
「あ……」
強面なおじさんと目が合って、気持ちが一瞬ひるむ。
けれどやっぱり、このまま言わせておきたくはなかった。
「あ、あの……っ、あの、ですね……!」
「……あ?」
ドスの効いた声に、喉をふるわす。
頑張れ。頑張れわたし。手のひらに爪が刺さるくらい拳を握って、えいっと顔を上げる。
「わ……たし、あの……や、夜間定時制に、通っている人を、知っていて……」
目をそらさずに、自分の中から言葉を出す。
ものすごく挙動不審になってしまっているけれど、それでも。
「そ、その人……すごく、素敵な人なんです。尊敬できて、わ、わたしなんかより、よっぽどできた人で……だから……」


