「そもそも夜間なんて行った時点で、すでに道外れてるよな。あんなとこ、まっとうに生きられなかった人間の吹き溜まりだろ。なあ?」
このお店の常連なのか、店員さんに同意を求めるおじさん。
店員さんは、「はあ、そうですねえ」と当たり障りない返事をしている。
「一度人生のレールから外れた欠陥品っつーのは、どうあがいても無理なんだよな。知ってるか? 夜間に行くヤツらの中退率って、かなり高いらしいぞ」
「……っ」
まるで、ニュースの通り魔に刺されたかのように、するどく胸のあたりが痛む。
どんな顔をしたらいいかわからなくて目を泳がせたら、雨夜くんと視線がぶつかった。
雨夜くんは……少し困ったように、笑っていて。
「……っ」
……嫌、だな。
シンと心が、冷えた気がした。
「ああいう、社会のゴミはーー」
おじさんはまだ、大きな声で夜間定時制に通う人のことを悪く言っている。
待っていれば、ひどい悪口は止まるだろうか。
でも、すごく嫌だな。このままやり過ごすのは。だって吐かれた言葉は消えなくて、そのまま残ってしまうから。


