まるで、クラスがウイルスに感染したみたいだった。

またたく間にいじめがはじまって、楽しかったはずの学校生活は、地獄と化した。


ブス。キモい。浴びせられる悪口や無視は、もちろん死ぬほどつらかった。

でも、わたしにもっともダメージをくらわせたのは、美和に陥れられたという事実だった。


美和は、わたしのことがきらいだったのかな。

リーダー格の子に気に入られるために、わたしを使ったの……?


教室にひとりぼっちでいるときも、夜、自分の部屋にいるときも。わたしはずっと、美和のことばかりを考えていた。

どうして、どうして、どうして……そうやって考えた先に行き着くのはいつも、濁りに濁った真っ黒な気持ち。


許せない。裏切り者。

美和のせいでこんな目にあっているんだ。欠陥品のわたしになってしまったのは、美和のせいだ。


いじめられたことで、自分の外見が嫌いになって。

美和をうらめしく思うたびに、自分の内面も嫌いになって……。



「まもなく、常和台―。常和台です」

「……っ!」


車内アナウンスの独特な声が耳に飛び込んできて、ハッとする。

今日も首を折り曲げて通学電車に乗っているうちに、いつの間にか回想にふけってしまっていたみたいだ。