店に設置してあるテレビから、なんだか物騒なニュースが流れてきた。
キャスターが発するのは緊迫した声だ。
駅前で、突如数人に斬りかかった。うちひとりは重症。
聞こえてくる言葉たちに、すうっと背中が寒くなる。
そして次の瞬間、体内温度はさらに低くなった。
「容疑者は、夜間定時制高校を中退していたとのことでーー」
「……っ」
突如飛び出てきた、〝夜間定時制高校〟というワード。
胸がざわついて、すごく嫌な感じがした。
これじゃあまるで、夜間定時制に通っていたことが悪い、と断定している風に聞こえる。
早くほかのニュースになればいいのに、ともどかしく思っていると。
「夜間定時制、ねえ」
カウンターにいたおじさんが、舌打ち混じりにひとりごちた。
ハッとおじさんのほうを見る。おじさんは、おはしの先を開いたり閉じたりしながら、嫌悪の表情でテレビを見上げている。


