「雨夜くんて、すごくたくさん食べる人なんだね……!」
いただきます、と手を合わせたあと、わたしは感心の気持ちでそう言った。
「そうかな?少食のイメージだった?」
「少食っていうか……カフェ!カフェのパスタが似合う感じ!」
力を込めて言うと、雨夜くんは笑い声をはじけさせた。
「はは、男子なもんで。っていうか永田さんこそ、少食なイメージかも」
「え……そ、そう⁉︎ あっ、でもたしかに多くないかな。甘いものならたくさん食べられるんだけど……」
「ははっ、さすが女の子だね」
「……っ」
雨夜くんが何気なく発した〝女の子〟という単語に、異常に胸をときめかせてしまう。
理解しきれない感情をごまかすように、月見そばをすする。
とたん、フワッと広がるそばの風味。噛んでみれば歯ごたえがちょうどよく、そこに絡んでくる山芋のトロトロ感に顔がほころぶ。
口を開き、雨夜くんにおいしさを伝えようとしたときだった。
「ーー区で、通り魔の男が現行犯逮捕されました」


