時間のことを考えなくていいって、本当に嬉しい。
雨夜くんと、気持ちを急かすことなく一緒にいられる。
渓流散歩のあと。わたしたちは心地よい疲れを感じながら、渓谷付近にあった小さなおそば屋さんに入った。
「いらっしゃい!」
のれんをくぐると迎えてくれたのは、三角巾をした愛想のいい中年女性。
親しみやすい雰囲気そのままに、お店もアットホームな雰囲気だ。
上の方に小さめのテレビが設置されていて、テーブル席がみっつ。
壁際にはカウンターがあって、おじさんがひとり、テレビに視線をやりながらズルズルおそばをすすっている。
「歩いたから、お腹すいたね」
「うん! するっと食べられそう!」
わたしたちはテーブル席に着くと、さっそくそれぞれ注文をした。
わたしは月見そば。雨夜くんは肉そばの大盛りに、おにぎりみっつ。
注文の品はあっという間に机に届いて、テーブルの上がにぎやかになる。


