「……すごいね」
しばらくしてから、つぶやきが聞こえた。雨夜くんも、圧倒されていたようだ。
首を回すと、雨夜くんもちょうどこちらを向いたところで、目が合った。
「なんか……いいね。今日」
ふわっとほほえんで、雨夜くんが言う。
「綺麗なもの見られて……ゆっくり話せて。図書室での時間短いなって、いつも思ってたから」
「〜わ、わたしも……!」
食い気味に答えてしまい、おっ、というように雨夜くんの目が丸くなる。
声をしりすぼみにしながら、わたしは続けた。
「わたしも……いつも予鈴までの時間、短いなって……だからもっと……」
「……うん」
雨夜くんが瞳をゆるめて、あたたかなまなざしを生み出す。
「同じこと思ってたね」
輝く陽光降る中。目の前には堂々たる滝。
わたしたちは、同じときを共有していることを噛み締めた。


