暗くならないように、明るめの声を出すようにつとめた。けれど“お母さんと仲良し”というのは、自分で口にして違和感があった。
だってきっと、仲良しだったと言ったほうが正しいから。
二年前からわたしは、お母さんの前でウソばかりを並べている。
今でもまだ、そうなんだ。
雨夜くんと仲良くなれた上に、挨拶をし合えるクラスメートができても、わたしは未だにウソをつくことをやめられていない。
現実とウソを織り交ぜて話しているんだ。
全部本当のことを言ったら、今までのウソとつじつまが合わなくなって、いじめられていた過去がバレてしまうから。
お母さんを悲しませるわけにはいかないから……。
そう思って、ふっと視線を落としたところで。
「……まだまだ知らないことって、あるものなんだね」
雨夜くんが、ひとりごちるように言った。
「……え?」
「いや……永田さんと毎日会ってて、勝手になんでも知ってるような気でいたなと思って」
「あ……」
「これからも、もっと教えて。永田さんのこと」


