心配の言葉を発して現れた雨夜くんに、心臓がきゅうっと反応した。


雷の中抱きしめられたときの体温や、伝わってきた鼓動のリズム。

全部がよみがえって、わたしの体をほてらせる。


「大丈夫だった?」


雨夜くんがそばに来て、わたしの顔をのぞき込む。

不自然なまばたきをしてから、わたしは「あ、あのね……!」と話し出した。


球技大会の最中から、もうずっと雨夜くんに聞いてほしくてたまらなかったから。

だから、話し始めたら止まらなくなった。


試合の臨場感を呼び起こしながら、こんなことがあって、こういう場面があって……と、次々言葉があふれ出てくる。


「なんかね、わたし勝手に怖いって思ってたけど、矢崎さんってーー」


そこまで話したところで、ハッと口をつぐむ。

ずいぶん一方的に、弾丸トークを繰り広げてしまっていた。


「あ、ご、ごめん!興奮して、しゃべりすぎちゃった……!」

「ううん」


やわらかい笑顔が、わたしに向かって降りそそぐ。


「嬉しいよ。もっと聞かせて」

「……っ」