摩擦だけでは止まらない。突風が起こる。 容赦ないその風が、積み上げてきたものをガラガラと崩していく。 ちゃんと演じられていただろうか。余裕ぶれていただろうか。 心が落ち着かない。握りしめすぎて、手のひらに痛みが広がる。 この心の、落ち着ける場所はーー。 『雨夜くん!』 「……っ」 ああ、俺は本当に勝手だ。 勝手で、矛盾していて、定まっていない。 さっき別れたばかりなのに……今ものすごく、永田さんに会いたい。