昼と夜の間で、僕らは手をつなぎ合う


今まで、あんな風に泣いてくれる人はいなかった。

心が揺さぶられた。愛おしいと思ってしまった。

……でも。


傘を斜めに持ち、顔をうつむかせる。かげりとなったところで、俺は表情を消した。

永田さんの存在が大切になればなるほど、罪悪感をおぼえる。彼女に見せてきたのは、本当の自分じゃないから。


惹かれると同時に怖くなる。

俺は、純粋な笑顔を向けてもらえる存在じゃないから。


永田さんが、本当の俺を知ったらーー。


「あれっ、雨夜?」


雨音が強くなった。と同時に、低めの声が聞こえた。

呼ばれた名前に顔を上げると、そこにいたのは中学の同級生だった。

学ランのイメージしかなかった彼らは、赤いネクタイが目立つブレザーを着用している。


「うっわ、久々だなー!俺ら、部活帰りなんだよ」

「相変わらずさわやかイケメンなのな」


青、藍、透明。それぞれ違う色の傘を差した元同級生たちは、口々に言って距離を詰めてくる。

顔面の筋肉が一瞬こわばったけれど、それを一瞬のうちにほどいて、さわやかと評される笑顔を浮かべた。


「……ほんとに久しぶり。元気だった?」

「それがさ、聞いてくれよー!」


俺の発言に、食い気味な言葉が重なる。