――最初。
そう、最初。永田さんが今のように流暢に話せずに、過呼吸すら起こしていた、初対面のとき。
『友達の力になりたいって思うのは、当たり前のことだよ』
弱りきった永田さんに、俺は〝友達〟だと言った。
でも、あのとき本当は。そんな風に思ってなんかいなかったんだ。
俺は、欠けた部分を埋めてくれるものがほしかった。それが永田さんだったから、一緒にいただけ。
彼女といると〝あるもの〟が得られるから。
……なのに。
『あ……ありがとう……!』
なのにいつの間にか、彼女を応援している自分がいる。
永田さんが、楽しい学校生活を取り戻せるようにと、本気で願って動いてしまっている。
一緒にいるうちに、どんどんほだされていった。
永田さんの素直さに癒されて、そばにいると濁ったものが浄化されていくようで。
そしてトドメが……今日の涙だ。
夜間に行っている理由を明かしたとき、ボロボロと泣き出して驚いた。


