「わ……」
そして思わず、声を漏らした。
外装のクリーム色とはうって変わり、四方がダークカラーの板張りになっている空間。
中心には、重量感のあるレトロな机が、居間の番人であるかのようにドンと腰を据えている。
ここが、雨夜くんが生活している場所なんだ……。
雨夜くんは洗練されているから、勝手になんとなく、新築の高層マンションが似合うイメージで。
けれどきっちり整理整頓されたこの居間を見たら、ああ、雨夜くんがいそうだなって。わたしの中で、とてもしっくりきた。
「永田さん、適当に座ってて。コーヒーでもいれるから」
「え……いいよいいよ!公園でもらった飲み物、まだあるし……!」
「せっかくだからいれさせて。コーヒー、ブラックだったよね」
「……!」
その言葉に目を丸くする。
交換日記時代、たしかにわたしは【コーヒーはブラックが好き】というようなことを書いたことがあった。
覚えていてくれたんだ。
嬉しくて、胸にきゅっとつかまれたような感覚がはしる。


