雷におびえて雨夜くんと走ること、数分。
わたしたちは、ブロック塀に囲まれた一軒家にたどり着いた。
瓦屋根で、クリーム色の外壁。昔ながらの日本家屋、といった雰囲気のお家だ。
「どうぞ、入って」
「お、お邪魔します……」
天候が天候なので、心の準備をする暇はなかった。
雨夜くんが開けてくれた引き戸から、おずおずと玄関に入らせてもらう。
「急に連行しちゃって、ごめんね」
「う、ううん! むしろありがとう……!あの、ご家族は……」
「ああ、大丈夫だから気にしないで」
サラリと答え、先に上がり框をまたいだ雨夜くん。
もう一度「どうぞ」と言ってもらって、わたしもぎこちなく靴を脱ぐ。
本当にまさかだ。雨夜くんのお家に、入れてもらえることになるなんて。
手土産がないのを申し訳なく思いつつ、肩をすくめて居間に通してもらう。


