「大丈夫? 永田さん」
「あ……うん……」
「わりと近いし、危ないね」
空に向かって、眉をひそめる雨夜くん。
数秒悩むそぶりを見せたあと、「……避けたかったけど、仕方ないか」とつぶやいて。
「俺の家に避難しよう」
わたしを見て、そう言った。
「え……っ」
「古い家だから……招くのも気が引けるんだけど。駅に行くより近いし、屋外は危ないから」
あ……雨夜くんのお家って。
まさかの展開に口をアワアワさせていると、また響いた雷の音。わたしは「ひぇっ!」と、マヌケな声を上げてしまった。
「行こう、永田さん」
「う、うん……」
荷物を手早くまとめた雨夜くんが、わたしの手を取る。
わたしは引かれるがまま、汗を流した公園をあとにした。


